就業規則福岡先日、社員に休日出勤してもらい、その際に、後日休みを取らせてあげることを約束しました。

すると、後日その従業員から休日出勤分の割増賃金を請求してきたのです。
会社としては、後日休みを取らせるので、差引ゼロだと認識していたのですが、その従業員は今回の取り扱いは「代休」なので「振替休日」とは違うと言われました。

「代休」と「振替休日」は、何が違うのでしょうか?
そして今回、割増賃金の支払いが必要なのでしょうか?

就業規則福岡ご質問のケースでは、「代休」になりますので、休日出勤した日の割増賃金を支払う必要があります。

もっと詳しく

一般的には同じ意味で使われることの多い、「代休」と「振替休日」ですが、実ははっきりとした違いがあります。

 

振替休日
休日出勤の命令をした際に、あらかじめ振替先の日付を決めている場合を振替休日と言います。この場合、休日と他の出勤日が入れ替わるので、出勤した日は休日労働にはならずに、原則として割増賃金が発生しないし、代わりに休んだ日の賃金控除もない(例外有り)。

 

代休
休日出勤の命令をした際に、とりあえず休日出勤してもらって、後から別の日を指定して休んでもらうことを代休と言います。この場合、休日に出勤してもらう ので、休日労働になり、割増賃金が発生し、代わりに休んだ日は賃金控除される。(プラスマイナスで差額ゼロの場合もあれば、割増分プラスになる場合もあ る)

 

他にも細かい条件などがありますが、大きくは「あらかじめ振替先が決まっているかどうか」が異なります。

 

では、代休の割増賃金の割増率はいくら??

そこで問題になるのが、休日労働の割増率はいくらになるのかという点です。

 

実は、この点は条件により変わってきて非常にややこしいので、以下の条件で例を示したいと思います。

1日の所定労働時間 8時間
1週間の所定労働時間 40時間
労働日 月曜日~金曜日
法定休日 日曜日
週の初日 日曜日
残業の割増率 2割5分
休日の割増率 3割5分

 

1.土曜日に休日出勤して、翌週金曜日に代休を取った場合

この場合は、土曜日に8時間働いたとすると、
・「8時間分の賃金×1.25」が土曜日の割増賃金
・「8時間分の賃金×1.00」を金曜日に休んだ分として控除

 

つまり、トータルとしては、「8時間分の賃金×0.25」の分だけ支給額が増えます。
※ただし、1ヶ月45時間以上または60時間以上の割増率を協定で別に定めている場合は変わってきます。

 

2.日曜日に休日出勤して、翌週金曜日に代休を取った場合

この場合は、日曜日に8時間働いたとすると、
・「8時間分の賃金×1.35」が日曜日の割増賃金
・「8時間分の賃金×1.00」を金曜日に休んだ分として控除

 

つまり、トータルとしては、「8時間分の賃金×0.35」の分だけ支給額が増えます。

 

でも、実際にはもっとややこしいんです!

 

実際には、同じ賃金計算期間中に代休を取るかどうか分かりませんし、労使協定で割増率が別に定めてあったり、就業規則で法定休日が特定されていなかったりと、いろんな条件によって割増率や支給額が変わってきます。

 

法律で割増率は決まっていますが、どの割増率が適用されるかなどの細かい部分は、会社の所定労働時間や法定休日の定め方などにより、変わってくるからです。

 

つまり、就業規則や労使協定の定め方で、割増率が変わってきます。

 

就業規則の定め方一つで、割増率が変わってくることは一般的には知られていないようなので、あらためて自社の就業規則を確認することをおすすめします。

 

ポイントは、
残業対策法定休日をどのように定めているか
残業対策36協定の特別条項があるかどうか
残業対策週の所定労働時間は何時間か
残業対策変形労働時間制を導入しているかどうか
残業対策フレックスタイム制を導入しているかどうか

などです。

 

就業規則の定め方で、総人件費が変わってきますので、会社に合わせてしっかりと作成しましょう。