当事務所からクライアントに対して、「就業規則の修正」や「社員満足度の調査」を提案した時に、経営者からよく言われる言葉があります。

「そんなことをしたら」

 

「こちらが何もしなければ、不平不満が出ないのに、社員が不満を出し始めるのではないか?」

 

「変なきっかけを与えて、そこから不満が増えていくのではないか」

 

「せっかく不満が出ない状態なので、寝た子を起こしたくない」

 

これらは、本当によく言われます。

 

こんなことを口にする経営者の場合は、「社員が不満を感じていたとしても、表に出なければ何事もなく進むのでそれで良い」と思っているようです。

 

このように言い出した場合は、そこの会社に対してはどんなに説明しても納得してもらえませんので、その場ではそれ以上何も言わないようにしています。

 

そんな会社に限ってトラブルが起きる

でも、そんな会社に限って、何ヶ月か経った後に

 

「○○が退職したいと言い出しました」

「どうやら、前からこんな不満を抱えていたみたいです」

「貴重な戦力だったのに」

「またいい人を探さないと。。」

 

という相談をされることがほとんど・・・・。

 

上記のような問題ではなくても、別の問題が発生して「本当に困ってるのでどうにかしてくれ」と相談されます。

 

 

なぜ、このようなことが起きるのでしょうか?

 

 

その答えは簡単です。

 

社員が自分で不満を口にするようになったときは、もう辞めることを決めた時がほとんどだからです。

 

社員が自分で不満を口にしだしたときは、既に手遅れなんです。

 

病気だって早期発見・早期治療が大切だと言われているように、社員の不満も早期発見・早期改善が大切なのです。

 

冒頭のようなことを話す経営者はそれに気が付いていません。

 

何事もなければ、それで良いと思っているようですが、実はそうではなく、

 

早い段階で、会社側から社員の不満を出させて、改善に努めた方が結果として、働きやすい職場になり、退職者も減り、無駄な採用コストや教育コストも減り、経営パフォーマンスの向上につながるのです。

 

社員の不満を無視するような会社だと

 

「どうせ言っても無駄」

 

という雰囲気が出来上がり、不満がどんどん膨らんでいきます。

 

 

これとは対照的に

 

 

話し合い会社が社員の不満をきちんと聞いてくれる場合は、

 

「うちの会社は話を聴いてくれる」

 

という認識ができ、雰囲気も良くなります。

 

 

そして、改善できる点はすぐに改善して、改善できないものはその理由をきちんと説明してください。(客観的な資料があると更に効果があります)

 

 

改善されれば、社員は当然不満が解消されますし、改善されなかったとしてもしっかりとした理由を会社から説明されれば、納得するものです。

 

たとえ完全に納得できなかったとしても、不満退職につながる事案は大幅に減ります。

 

聴いてくれると分かった時点で、不満の何パーセントかは解消されるわけです。

 

 

当事務所が、社員満足度調査を行ったある会社では、アンケート用紙に

 

「このような意見を聴いてくれる場を用意してくれて本当にありがとうございます」

 

という記載を多くの社員さんが書いていました。

 

このように不満がどうこうというより、むしろ感謝されることだってあります。

 

話を聴いてくれない会社と比べると、その差は一目瞭然。

 

こうなってくると、「社員の不満を聴かない理由はどこにもありません」

 

それでも、「社員の不満を聴かない会社」のままで大丈夫ですか?