当社では、7月10日がボーナスの支給日です。

6月30日に、ある社員が7月31日付で自己都合で退職したいという退職の申し出をしてきました。

その退職届は受理したのですが、もう辞めることが分かっている社員です。7月10日のボーナスを減額したいのですが問題ないでしょうか?

過去の判例等を見る限り、減額することは違法ではないようです。

しかしながら、当事務所では減額しないことをおすすめしています。

もっと詳しく

既に辞めると分かっている社員ですので、ボーナスを減らしたいという気持ちは分からなくもありませんし、判例を見る限り違法ではないようです。(ベネッセコーポレーション事件 東京地裁判決 平成8.6.28)

 

 

実際、ボーナスをどのように算定するか、支給対象者をどのように決めるか、支給額をどうするかと言うのは比較的柔軟に事業主が設定できます。

 

 

支給日の当日に在籍していることを条件にすることもできますし、人事評価の結果をボーナスの金額に反映させることもできます。

 

 

そして、判例ではこのようにも言われています。

「賞与額決定要素として従業員の将来の活躍に対する期待を加味することについては一定の合理性が認められる」(ベネッセコーポレーション事件 東京地裁判決 平成8.6.28)

 

ボーナスには過去の貢献だけでなく将来の期待も含まれると考えられるわけです。

 

ということは、辞めるということが分かっている社員のボーナスは、将来の期待分は減額しても良いと考えられるわけです。

 

ただし、減額できるのは2割程度

だからと言って、ボーナスをゼロにしたり、大幅に減額できるかというとそうではありません。

 

上記の判例では、減額こそ認めたものの、大幅な減額は認めず、将来の期待分は2割程度との判断でした。

 

そのため、減額できても2割程度というのが目安となりそうです。

 

しかし、払った方が良いのでは?

法的には減額できるとしても、どうでしょう?

 

一応、ボーナスの算定期間はきちんと働いたのであれば、通常通り払った方が変な問題も起きず、スッキリするのではないでしょうか。

 

もちろん、社会人としての常識を疑われるような辞め方をしたのであれば、減額もやむなしと考えますが、そうでなければ減額しない方が良いのでは?と考えています。

 

今回のポイント

  • ボーナス支払後、すぐに辞めると分かっている社員のボーナスは減額できると考えられる。
  • 減額できるのは2割程度。
  • しかし、できることなら減額せず支払った方がスッキリして良いのでは。