当社では、年俸制を導入する予定です。そこで年俸制について調べていくと、年俸制であっても残業代の支払いが必要だと知りました。
そこで、疑問が発生したのですが、年俸制社員の残業単価はどのように計算すればいいのでしょうか?
予定している内容は次のようなものです
・年俸840万円
・それを14で割って、毎月の支払額は60万円
・6月と12ヶ月にボーナスとして60万円
ご質問のケースの場合、年俸の840万円を年間所定労働時間で割った金額を基に残業単価を計算します。
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一般的な月給制の場合は、月の給料を平均所定労働時間で割って単価を出します。
この流れから行くと、ご質問の年俸制の場合でも、月給換算である60万円を平均所定労働時間で割って単価を出したくなります。
でも行政解釈(平成12.3.8基収第78号)や判例(システムワークス事件 平成14.10.25 大阪地裁判決)の考え方はどうも違うようです。その考え方は、こんな感じです。
年俸額が決まっていて、それを14分割や15分割して月額給与と賞与を決めるやり方では、最初から賞与分が固定しているので、その賞与分も割増賃金の基礎となる。 |
そのため、ご質問のケースでは「単に年俸制を導入しただけ」では、年俸額全てを年間所定労働時間で割って単価を出す必要があります。
経営者のイメージとしては、月平均の所定労働時間が160時間だとすれば、残業単価は
「60万÷160時間×1.25=4688円」
だと思っていることが多いです。
しかし正しくは、年俸860万円を12で割った71万6667円を月給とみなして
「71万6667円÷160時間×1.25=5599円」
となるわけです。
では、対応方法はないの??
上記のとおり、行政解釈や判例があるので、一見対応方法はないように見えると思います。
しかし、そこは会社と年俸社員の雇用契約しだいです。
「年俸制社員にも残業代は必要??」でも書いているのですが、就業規則や雇用契約書の内容が重要になります。
ご質問のケースのように、賞与額を確定してしまうと残業単価が上がるのが困るのであれば、社員としっかりと話し合ったうえで賞与額については確定せずに「業績や評価による形式」にするのも一つの方法です。
他にもいくつか方法は考えられますが、社員に説明した上で、就業規則にしっかりとそのことを明記し、トラブル防止のためにも雇用契約書にも明記することが大切です。