もともと、以下の業種は労働時間に関する限度時間が適用されませんでしたが、働き方改革による労働基準法の改正でこれらの取り扱いが大きく変更されました。

  1. 工作物の建設等の事業
  2. 自動車の運転の業務
  3. 新技術,新商品等の研究開発の業務
  4. 季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの
厚生労働省の「時間外労働の上限規制わかりやすい解説」より引用

具体的には、どのように変わった?

具体的にどのように変わったかを一覧にしました。

それぞれ詳しい内容は「詳しくはこちら」という文字をクリックしてください。

業種 限度時間
1.工作物の建設等の事業 期間限定で適用除外
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2.自動車の運転の業務 期間限定で適用除外
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3.新技術,新商品等の研究開発の業務 ほぼ今まで通りで適用除外
4.季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの 期間限定で一部適用除外
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1.工作物の建設等の事業

工作物の建設等の事業について通達(平30.9.7基発0907第1号)によると、このように記載されています。

平成 36 年3月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、災害時における復旧及び復興の事業に限り、新労基法第 36 条第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととしたものであること。

 

相変わらず分かりにくいので、私が翻訳するとこのようになります。

 

平成36年(2024年、令和6年)3月31日までの間は、ほぼ今まで通り限度時間について適用除外です。

平成36年(2024年、令和6年)4月1日以降は、一般の業種と同じように限度時間が適用されます。

 

ただし、平成36年(2024年、令和6年)4月1日以降でも「災害時における復旧及び復興の事業」については当分の間、特別条項での上限である「1ヶ月100時間未満」、「2~6ヶ月の平均が80時間未満」のルールは適用除外となります。

 

2.自動車の運転の業務

自動車の運転の業務について通達(平30.9.7基発0907第1号)によると、このように記載されています。

自動車の運転の業務については、平成36年3月31日までの間、新労基法第36条第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、時間外労働の上限規制として1年について960時間以内の規制を適用することとしたものであること。(中略)

平成36年4月1日以降は、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第36条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、1箇月については事業場の実情に応じた時間数を、1年については 960 時間を超えない範囲内の時間数をそれぞれ協定するものであること。

 

相変わらず分かりにくいので、私が翻訳するとこのようになります。

平成36年(2024年、令和6年)3月31日までの間は、ほぼ今まで通り限度時間について適用除外です。

平成36年(2024年、令和6年)4月1日以降は、一般の業種と同じように限度時間が適用されます。

 

ただし、平成36年(2024年、令和6年)4月1日以降でも当分の間、特別条項での上限である「1ヶ月100時間未満」、「2~6ヶ月の平均が80時間未満」のルールは適用除外となり、更に1年間の上限は720時間ではなく960時間とします。

※厳密には、2024年3月31日と4月1日を含んだ36協定を定めている場合は、その36協定の初日から1年を経過する日までの間です。

 

3.新技術、新商品等の研究開発の業務

新技術、新商品等の研究開発の業務について通達(平30.9.7基発0907第1号)によると、このように記載されています。

新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務の特殊性が存在する。このため、限度時間(新労基法第36条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第36条第6項第2号及び第3号)についての規定は、当該業務については適用しないものであること。

 

相変わらず分かりにくいので、私が翻訳するとこのようになります。

新技術、新商品等の研究開発の業務については、ほぼ今まで通り限度時間について適用除外です。

 

4.季節的要因等により事業活動若しくは業務量の変動が著しい事業若しくは業務又は公益上の必要により集中的な作業が必要とされる業務として厚生労働省労働基準局長が指定するもの

通達(平30.9.7基発0907第1号)によると、このように記載されています。

鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業については、平成36年3月31日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の1箇月についての上限(新労基法第36条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第36条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。
また、新労基則第17条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。
平成36年4月1日以降は、新労基法第36条の規定が全面的に適用されるものであること。

 

相変わらず分かりにくいので、私が翻訳するとこのようになります。

平成36年(2024年、令和6年)3月31日※までの間は、1ヶ月について45時間、1年間について360時間という原則は適用されます。

ただし、特別条項での上限である「1ヶ月100時間未満」、「2~6ヶ月の平均が80時間未満」のルールは適用除外となります。

 

平成36年(2024年、令和6年)4月1日以降は、一般の業種と同じように限度時間が適用されます。

※厳密には、2024年3月31日と4月1日を含んだ36協定を定めている場合は、その36協定の初日から1年を経過する日までの間です。