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無料の就業規則をそのまま使用するのはトラブルの元!
会社に合ったものを作成することが重要!

就業規則福岡今はインターネットで無料で手に入るようになりました。

そのせいもあってか、無料の就業規則をそのまま使っていたり、自社風にちょっとアレンジして使っている会社が多いのが実情です。

 

しかし、実はこれはさけなければいけない事なのです。

 

はっきりと断言します!

 

今は大丈夫でも必ず労働トラブルが発生し、その就業規則ではトラブルに対応できないという事態が起こります。これは断言できます。

 

無料で手に入る就業規則は、あくまで雛型

それではなぜ無料で手に入る就業規則には問題個所が多いのでしょうか?

 

まず、あくまで雛型であるという点。これが非常に大きいです。

 

本来、就業規則は会社の規模、業種、会社の理念・考え方、組織風土、福利厚生に合わせて作成するべきものです。

 

もちろん雛型は、それらの考えが入っていません。

 

そんな雛型の一部だけを作り替えて、会社の運用に使おうとしても、どうしても実態に合わないことが多いのです。

 

そうなると、結局のところ一から作った方が良いということになります。

 

正社員、契約社員、アルバイトの個別に作成されていない

多くの会社では、正社員、契約社員、アルバイトを雇っています。

 

アルバイトは、労働時間が短いことも多いですし、正社員とは働き方や責任が異なったりと違いが多数あります。

 

他にも嘱託社員を雇用している会社もありますし、季節的な期間限定社員を雇っている会社もあります。

 

それぞれ労働条件が異なるのに一つの雛型規則ではそれらに対応できません。

 

本来は、労働条件が異なる区分ごとに作成するべきなのです。

 

無料の就業規則が全ての企業規模に合っているわけではない

無料の雛形就業規則は、大企業に対応できるよう配慮されており、全ての企業に当てはまるわけではありません

書類 大企業であれば、資産的な余裕があるため、福利厚生にもお金を十分に使えることもありますし、退職金の積み立てに十分な資金がるかもしれません。

 

しかし、中小企業の場合はどうでしょうか?

 

無料の雛型就業規則を使おうとしている会社のほとんどは、従業員20名未満ぐらいだと思われます。

 

大企業と同じ対応が出来るかどうかは非常に疑問があり、社長が雛型規則の内容を理解せず、そのまま使っていては経営そのものに打撃を与えることになりかねません。

 

例えば退職金についてです。
無料の就業規則では以下のようになっている場合があります。

第○条
退職金は勤続年数に応じて所定の金額を支払う。

この場合、正社員・パート・契約社員にかかわらず退職金を支払う義務が発生します。しかも、1年で退職したとしても支払い義務が発生します。

 

もちろん、社員のために支払うという考えなら全く問題ありません。

 

しかし、退職金制度そのものが無かったり、退職金を支払うのではなく月額の給与に上乗せしているような場合でも、雛型規則をそのまま使えば、退職金の支払い義務が発生します。

 

「勘違いで退職金の規定を載せたとしても、そんなの支払わなければいい!」

 

このように考える社長もいると思いますが、就業規則に記載したものは会社と社員の労働条件として有効に成立します。

 

そのため、法的には退職金の支払い義務が発生する可能性が非常に高く、退職した労働者が労働基準監督署に相談すれば、会社に指導が行われ、社長が支払わなければならなくなる可能性は非常に大きいのです。(労働基準監督署は法律に則って指導するわけですから支払義務が生じるのは当然です)

 

次は休職についてです。
無料の就業規則では以下のようになっていることがほとんどです。

第○条
1 従業員が、次の場合に該当するときは、所定の期間休職とする。
① 業務外の傷病による欠勤が○か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき                   ○年以内
② 前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき
必要な期間
2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難であるか、または、不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。
3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治ゆせず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

休職制度には非常に複雑な問題が潜んでいます。

上記は、一般的な記載となっており、内容が足りない場合も多く、実務では対応することができません

 

雛形に記載されている休職期間が長い場合、大企業の場合は問題ないと考えられますが、中小企業には無理があるケースが多いですし、休職制度を定めるとしても最低でも休職理由ごと、勤続年数ごと、従業員の種類ごとに休職期間を定め、特にトラブルの多い復職についても、きめ細やかに定める必要があります

 

ここで見た例はわずか2点ほどですが、実際はあらゆる条文についてこれと同じような問題を多く抱えています。

 

他にもまだある無料の就業規則の問題個所

無料の雛形就業規則には、他にも多くの問題個所が含まれています。
多くの問題個所のうち、少しだけ紹介していきたいと思います。

 

例えば育児休業についてです。
無料の就業規則では以下のようになっている場合があります。

第○条
育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、申出により、育児休業をすることができる。以下省略

育児休業を取らせてあげることは、従業員に働きやすい職場を提供することになり、とても重要なことです。

これからは、女性労働者だけでなく男性労働者にも育児休業を取得してもらう機会が増えていくでしょう。

 

しかし、上記の例では勤務日数や勤務時間に関係なく、入社したばかりのアルバイトにも、希望者のほぼ全員に育児休業の権利が発生します。
例えば、すぐにやめてしまうと分かっている従業員であっても権利が発生します。

 

はたして、中小企業(特に20人未満)にとって、その運用が合っているかは疑問が残ります。

 

就業規則福岡

しかし、雛形就業規則をそのまま使っていてはそれに気づかないのです。

会社として、それでも良いという場合は全く問題ありません。

しかし、中小企業で実態に合わないのであれば実態にあったものにしていく必要があります。

 

問題個所はまだあります次は服務規律についてです。
無料の就業規則では以下のようになっていることがほとんどです。

(遵守事項)
第○条
従業員は、次の事項を守らなければならない。
1 勤務中は職務に専念し、みだりに勤務場所を離れないこと
2 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと
3 職務に関連して自己の利益を図り、または、他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受けるなど不正な行為を行わないこと
4 正当な理由なく、会社の名誉又は信用を損なう行為をしないこと
5 正当な理由なく、会社、取引先等の機密を漏らさないこと
6 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと
7 その他酒気をおびて就業するなど従業員としてふさわしくない行為をしないこと

職場秩序を維持するためには、どうしても禁止事項を定める必要があります。

 

社員が問題のある行動を起こさないようルールを決めるわけです。

 

そして、社員が問題のある行動を起こした場合は適正な指導を行う必要がありますし、その上で、場合によっては懲戒処分を行うこともあるでしょう。

 

しかし、日本の法律では問題のある行動を起こした社員を懲戒処分する場合には、就業規則にその理由が明確に記載されている必要があります。
ビル ということは、上記のようにわずか7項目しか禁止されていない場合は、それ以外のことは禁止できませんし、処分もすることができません。

問題のある行動を起こす社員がいた場合に、一番被害を受けるのは、その周りの社員です。

 

しかし、上記のようにわずか7項目しか禁止項目が無ければ、問題行動を起こした社員を適正に指導もできなければ懲戒処分を行うこともできません。

 

この状態は、周りの社員にとって迷惑以外の何物でもありません。

 

このように無料の就業規則は個々の会社の実態に照らしたときに、十分ではないものであることが多いのです。

当事務所が就業規則を作成する場合は、少なくとも60項目以上の禁止事項を設けます。

はっきり言って、無料の就業規則を社長がその内容を理解することなく、そのまま使ってしまえば、会社を守るどころか、頑張っている社員を守ることができず、トラブルに対応することができない恐れがあります。

 

次は割増賃金についてです。
無料の就業規則では以下のようになっていることがほとんどです。

第○条
1  割増賃金は、次の算式により計算して支給する。(月給制の場合)

イ 時間外労働割増賃金(所定労働時間を超えて労働させた場合)
1時間あたりの単価×1.25×時間外労働時間数

ロ 休日労働割増賃金(法定休日労働をさせた場合)
1時間あたりの単価×1.35×休日時間間数

ハ 深夜労働割増賃金(午後10時から午前5時までの間に労働させた場合)
1時間あたりの単価×0.25×深夜労働時間数

一見すると普通に見えます。しかし、しかし大きな落とし穴があります。

ビル 例えば、1日の所定労働時間が7時間30分の会社がこの規則をそのまま適用してしまうと、法律より残業代を多く払わなければならないという事態が発生します。

本来なら、1日8時間を越えて労働した場合や1週間で40時間を超えて労働した場合に1.25倍の割増賃金を支払えば良いのですが、この規程だと所定労働時間の7時間30分を超えた労働は全て1.25倍になるのです。

 

それを分かった上で使用する場合はそれでもかまいません。

しかし、多くの場合はそれを知らずに運用してしまっていると考えられます。

 

無料の就業規則の内容を理解しないで使用することは、中小企業(特に20人未満)では致命的です。

無料の就業規則をダウンロードして、そのまま使ってしまったために、本来意図していない賃金を支払わなければならない状況も生まれます。

 

それによって、ボーナスの原資が減ってしまい、頑張っている社員へのボーナスが減ってしまうのは問題ではないでしょうか。

 

残業代の支払いは、法定通りの支払い方法に合わせ、その上で会社に残った利益をしっかりと社員へ還元するという制度を構築することが理想的ではないかと思います。

 

他にも語りつくせないほど問題個所がたくさん

正直、無料の就業規則には他にもたくさんの問題個所がありますが、あまりに多すぎてここでは語りつくせないのが実情です。採用、試用期間の取り扱い、休日について、退職について、賞与について、昇給について等他にもたくさんの危険が含まれています。

 

 

無料の就業規則を使うならば、必ず社長がその内容を理解し、法令を遵守しながら、相当のアレンジを施さなければならないのではないでしょうか。

 

少なくとも無料の就業規則を、そのまま使用するとすれば、爆弾を抱えたまま企業運営をしているのと同じです。

 

 

1日でも早く今の就業規則の使用をやめて、就業規則を大幅に改定してください。

 

 

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※注意

当事務所の記事は、全て当事務所の理念に基づいて作成し、この記事については問題社員を想定して作成しています。

この記事で、「法律を守る必要は無い」なんて一言も書いていませんし、そんなことは思っていません。この記事の一部のみを切り取ったり、文面を歪曲して解釈し、その状態で意見をぶつけるのはご遠慮ください。