近頃、ネットやマスコミで、ブラック企業が話題になっていることもあり、法令順守はもちろん、「従業員満足度」の注目度が高まっています。
なぜなら、「従業員満足度」が経営に与える影響が非常に大きなものだと分かってきたからです。
これからの時代は、従業員満足度を無視して会社経営を行うことは無謀と言っても過言ではありません。
今回は、その理由を3つにまとめ、解説していきます。
1.離職率に大きな影響を与える
当然ですが、従業員が会社に満足していれば長く勤めようと考えます。
逆に、大きな不満を抱えていると、会社を辞める確率が高くなります。
今回、注目していただきたいのは、従業員が会社を辞めた時の損失についてです。
従業員が会社を辞めた時の損失をしっかりと認識している会社は少ないのですが、実際のところその損失は非常に大きなものです。
一人の従業員が辞めただけでも次のような損失が発生します。
- 今まで、その従業員にかけた教育時間と費用
- その教育に携わった別の従業員の給料
- 辞めた従業員を採用した時の求人広告費
- その際の選考にかかった時間と人件費
- 新たな従業員を募集する求人広告費
- 新たな従業員を教育する時間と費用
- その教育に携わる従業員の給料
いったいいくらになると思いますか?
かるく数百万円にはなるはずです。
他にも、会社内にノウハウが溜まらず、外部に流出するのでその損失は計り知れません。
では、従業員が辞めなかったらどうなるでしょうか?
ナント、上記の損失は発生しないのです。
従業員が辞めない。
たったこれだけのことで、損失が発生しないということに経営者は気づかなければなりません。
そして、
「従業員満足度が高い」=「従業員が辞めない」
ということにも経営者は気づかなければなりません。
2.顧客満足度に大きな影響を与える
これも当然ですが、従業員の満足度が低いと、やる気も低くなります。
やる気が低くなるとどうなるかというと
やる気があるときと比べ、仕事の質が落ちます。
仕事の質が落ちるとどうなるかというと
サービスの質が落ちます。
そうなると、出てくるのが顧客からのクレームです。
これも当然ですね。サービスの質が落ちれば顧客は不満を持ちますし、クレームも増えます。
まだ、クレームを言ってくる顧客は良い方で、サービスの質が落ちたことによって、契約を切られたり、商品を買ってくれなくなったりする顧客も当然出てきます。
そうなれば、売上が減少するのは火を見るより明らかで、そうなってから慌てても遅いということも周りの会社を見れば明らかです。
ちなみに、そうなると離職者が増えます。
今の時代、従業員の満足度も考えず、単に尻を叩くばかりの経営を行っていては生き残っていけないというわけです。
3.採用に大きな影響を与える
これからの日本は、少子高齢化が進み、労働力人口も減少の一途をたどります。
絶対的に、労働力が不足する時代がすぐ近くにあります。
どの会社も優秀な人材が欲しいのは同じですので、人材の奪い合いが更に厳しくなるわけです。
その時に、人材は「従業員満足度が非常に高い会社」と「従業員満足度が低い会社」のどちらに就職したいと思うでしょうか?
今の時代、インターネットで情報はいくらでも取得できます。
会社内部の悪口などすぐに広まるわけですから、従業員満足度の低い会社は、今後人材の確保が非常に厳しくなることが予想されます。
会社の核となるのは、従業員であることは間違いありません。
どんな会社でも従業員がいなければ存続できないのも間違いありません。
人材を確保できなければ、企業は生き残っていくことができません。
従業員満足度が低い会社は、今後生き残っていくことができません。
では、従業員満足度を上げるにはどうしたらよいのか?
従業員満足度が経営にとって大切なことは分かりました。
では、従業員満足度を上げるにはどうしたらよいのでしょうか?
「やっぱり給料を上げればいいんじゃないのか」
そんな声が聞こえてきそうですが、その答えは間違いです。
お金が動機づけにつながらないことは、既に「ハーズバーグの二要因理論(動機付け・衛生理論)」で証明されています。
この理論の詳細な説明は、別の記事で行うことにしますが、お金が動機づけにつながらないなら、いったい何が動機づけにつながるのでしょうか?
実は、その答えは
「会社によって違います」
なぜなら、会社によって環境、働く人たちの性別・年齢・職種が全く異なるので、その会社では、何が足りていて、何が足りないのかが異なるのです。
そして、
「どのように改善したらよいか分からない」
このように感じるということは
・従業員が何に満足しているのか分かってない
・従業員が何に不満を持っているのか分かってない
・何が従業員のやる気につながる分かってない
ということです。
今の会社の状況を、分かりやすく人で例えてみましょう。
体の調子が悪くて全身がだるい人がいたとします。
・何かの病気かな?
・薬を飲むなり、治療をするなりして治したい。
・でも、原因が分からない。
・だからどんな治療をしたらよいか分からない。
こんな状態です。
こんな時、普通ならどうしますか?
そう、病院に行って検査をしてもらって、どこが悪いのかはっきりさせることです。
どこが悪いかはっきりすれば、効果的な治療をすることができます。
会社だって全く同じです。
どこが悪いのかが分からないのなら、検査をして悪いところをはっきりさせればいいんです。
悪いところが分かれば、効果的な対策をとることができます。
そのため、まずは会社の健康診断である「従業員満足度診断」を行うことをおすすめします。
満足な点、不満足な点、どの要素が満たされていて、どの要素が満たされていないのか。
これらを明確すれば、何を改善すればよいのか、そして何が重要なのかが分かります。
そして、必要な対策を取ることで、効果的に従業員のやる気と生産性をアップさせる。
そして、会社の経営改善につなげるというのがベストな選択肢です。