アルバイトやパートが祝日に働いた場合、法的には祝日に働いたということは特に関係ありません。
ポイントとなるのは、その祝日の労働が法定内労働なのか、それとも法定外残業にあたるのか、それとも法定休日労働どうかによって計算が変わります。
もっと詳しく
時給制の場合、働いた時間に応じて給与が計算されますので、当然ですがその時間分の賃金が支払われることになります。
例えば、時給が1000円だとすると8時間働けば8000円の賃金が発生します。
ですが、祝日に働いた場合はどうなるのでしょうか?
「残業あつかいで1.25倍だろ!」
「いやいや、休みの日なんだから1.35倍だろ!」
と考える方も多いと思います。
でも、実際はその労働が法定時間内なのか、法定時間外なのか、法定休日の労働なのかによって変わってきます。
法定時間内の労働であれば1.00
法的には、その労働が祝日かどうかは関係なく、法定労働時間内かどうかで判断されます。
法定労働時間というのは、あの有名な週40時間、1日8時間です。
これだけだと分かりにくいと思いますので、具体的な例で見ていきましょう。
雇用契約の労働条件
- 1日の所定労働時間が4時間(9時~13時)
- シフトにより週3日ほど勤務
- 時給1000円
この契約で、以下のように木曜日の祝日に勤務したとします。
日 | 月 | 火 | 水 | 木(祝日) | 金 | 土 |
休日 | 4時間 | 4時間 | 4時間 | 4時間 | 休日 | 休日 |
この場合、この祝日がシフトによる出勤日かどうかは関係ありません。
法定時間内(1日8時間、週40時間)かどうかで判断します。
この祝日勤務は4時間なので、法定時間の8時間以内ですね。
そして、1週間単位で見ても40時間以内の労働です。
そのため、この祝日労働の賃金は次の額になります。
つまり、通常の時給計算で働いた分が賃金となります。
1日の法定時間を超えた労働であれば1.25
それでは、先ほどと同じ契約で、以下のように木曜日の祝日に勤務したとします。
日 | 月 | 火 | 水 | 木(祝日) | 金 | 土 |
休日 | 4時間 | 4時間 | 4時間 | 10時間 | 休日 | 休日 |
今度は、祝日に10時間働いています。
おっ。今度は1日の法定時間である8時間を超えています。
と言うことは、1.25倍になりそうです。
でも注意!
1.25倍になるのは、あくまで法定時間を超えた部分だけです。
そのため、この祝日労働の賃金は次の額になります。
8時間を超えて働いた2時間分が1.25倍となるわけです。
または、以下のような考えでも良いです。
(働いた時間分の時給+法定時間を超えた分の割増)という考え方ですね。
計算結果は同じなので、どちらの考えでも構いません。
個人的には、後者の考え方が好みです。(深夜勤務の計算が絡んできたときに分かりやすいため)
1週の法定時間を超えた労働であれば1.25
先ほどは、1日の法定時間(8時間)を超えたケースを紹介しました。
法定時間は他にも1週間(40時間)がありますので、これを超えるかどうかも関係してきます。
例えばこんな感じ
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土(祝日) |
休日 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 8時間 | 2時間 |
今度は、土曜日が祝日で、この日に2時間働いています。
2時間なので、1日単位でみれば8時間を超えていません。
でも、どうでしょう。
月~金を足すと既に1週間で40時間働いています。
ということは、この土曜日の勤務は週40時間を超えていることになります。
そのため、この祝日労働の賃金は次の額になります。
週40時間を超えて働いた2時間分が1.25倍となるわけです。
法定休日の労働であれば1.35
ここまで読んでいただくと分かるように、その労働が祝日かどうかというのは関係ありません。
でも、休日労働なので「1.35」なのでは?という話もよく聞きます。
ですが、実は1.35倍となる休日労働というのは、基本的に労働基準法の定める法定休日に働いたときだけなのです。
(この辺りの詳しい解説は「法定休日労働と法定外休日労働は同じ休日出勤でも割増率が違う」をご覧ください。)
まとめ
このように、祝日に勤務したという事実はあまりかんけいなく、その労働が法定内の労働なのか法定時間を超えた労働なのかで大きく変わってきます。
また、就業規則で定めた割増率の記載によっても異なりますので、その点に注意して正しく計算してください。
就業規則や雇用契約で、祝日は1.25と記載されていればその定めが優先されます。
そのため、就業規則や雇用契約を確認することをおすすめします。