辞めた社員社員に残業代を請求されたときに会社がよくやる反論

 

「年俸制だから残業代は必要ないはずだ!」

 

はっきり言うと、この反論は全く意味がありません。

 

こちらの記事でも紹介していますが、基本的に年俸制であってもそれはあくまで所定労働時間に対する賃金です。

残業時間分は別で支給しなければなりません。

 

また、年俸制でよくあるパターンとして、年俸額にボーナスの金額も含めた契約には注意が必要です。

 

例えば、

  1. 年俸800万円で契約
  2. 毎月の支給額は800万円÷16=50万円
  3. 7月と12月にボーナスとして100万円ずつ支給
  4. 上記の2と3を合計して800万円

 

このような契約の場合、残業単価を計算するときに問題が発生するのです。

通常は、月額50万円であれば、その金額を月平均の所定労働時間で割った金額が単価として使用されます。

 

月平均の所定労働時間が160時間だとすれば、一般的な残業単価は

 

「50万÷160時間×1.25=3906円

 

ですが、今回例として挙げたのような年俸制の場合、ボーナス分は事前に確定しているので、実はその分を賃金とみなして残業単価の計算に含めないといけないのです。

 

具体的にどのようななるかと言うと、年俸800万円を12か月で割った金額66万6666円が月額給与とみなされることになり、残業単価を計算すると

 

「66万6666円÷160時間×1.25=5208円

 

となります。

 

gum01_ph04008-s経営者は年俸制社員には残業代を払わなくて良いと勘違いしていることが多いのですが、実際には、残業を支払わないで良いどころか、支払う必要がある上に、残業単価が1000円以上高くなっているのです。

 

現実問題として、「年俸制で契約して残業代なしと合意」をしていれば、社員から残業代の請求があることは少ないかもしれません。

 

 

経営者は「年俸制で契約して残業代なしと合意すれば問題ない」と勘違いし、年俸社員もそれに納得して請求しなければ問題が表に出ることは少ないかもしれません。

 

 

しかし、年俸社員がそれに不満を感じ、実際に行った残業の残業代を請求してきた場合どうなるでしょうか?

 

 

結論を言うと、「年俸制だった」としても、社員から残業代を請求されれば、会社側は100%負けます。

 

会社としては、このような無駄な反論をするのではなく、

  1. 正しく計算した残業代を払う
  2. 法律で認められている残業対策を行う
  3. 業務の効率化を進め、残業時間を削減する
  4. 社員と合意をした場合は、一定時間の残業代が含まれている契約にする
  5. 4を明確にするための雇用契約書を作成する

などの対策に時間を使った方が何倍も効率的です。

 

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