辞めた社員社員に残業代を請求されたときに会社がよくやる反論
「基本給に残業代が含まれているはずだ」
「完全月給制ということで社員と合意していた」
はっきり言うと、この反論は全く意味がありません。
まず、 「完全月給制ということで社員と合意していた」という主張について
今の日本の法律では、「どんなに働いても同じ賃金」という完全月給制は、認められていません(一部の例外を除く)。
どうしても、社員から請求されれば、残業をした部分については割増賃金を払わなければなりません。
次に、 「基本給に残業代が含まれているはずだ」という主張について
これもなかなか難しい主張です。
この主張をしている、多くのケースでは、「では基本給のうち、何円が割増分なのか」、「それは、時間外として何時間分なのか」、「それは残業分なのか、深夜分なのか、休日分なのか」などが明確ではありません。
それに、口約束であり、客観的な証拠がないことが多く、それでは会社の負けは確実です。
この主張を通すには、少なくとも基本給のうち、通常の労働時間の賃金にあたる部分と、時間外、休日および深夜の割増賃金に当たる部分とが判別できること必要とされています。(「小里機材事件」最高裁昭和63年7月14日判決)
そのため、会社としては、このような無駄な反論をするのではなく、
- 基本給のうちの通常の労働分を明確にする
- 基本給のうちの割増分を明確にする
- 割増分が何時間分なのかを明確にする
- 上記を明示した雇用契約書を作成する
などの対策に時間を使った方が何倍も効率的です。
当事務所でも、会社を守る雇用契約書作成サービスを提供しています。
上記の主張に心当たりがある会社は、すぐに対応しましょう。