導入するだけで残業対策になる!
1ヵ月単位の変形労働時間制とは?
こんな悩みや希望を叶えてくれる制度です |
きちんと残業代を支払いたいが、今のままでは金額が・・・ 何とか残業時間を合法的に減らす方法はないの? 法律で認められた残業対策があれば良いのに・・・ 月初は暇なのに、月末が忙しくて残業が増えてしまう・・・ |
簡単に制度を説明すると、「1カ月ごとに、以下の労働時間内で、1日毎の労働時間を決めることができる制度」です。
対象となる月の暦日数 | 労働時間の総枠 |
31日 | 177.1時間 |
30日 | 171.4時間 |
29日 | 165.7時間 |
28日 | 160時間 |
これを使うと、何が良いかと言うと、通常であれば休みである祝日の労働時間分を他の日に割り当てることで、日によっては1日9時間という設定ができたり、10時間という設定ができるということです。
これにより、1日に9時間労働すれば、通常は残業が1時間となるところが、残業ゼロとなるわけです。
1ヵ月単位の変形労働時間制の例
少し分かりにくいかと思いますので、2013年11月を例にして説明します。
2013年11月 | ||||||
日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
1日の所定労働時間は、9時~18時(休憩1時間)の8時間だとします。
平日のみ勤務する一般的な会社であれば、所定労働日数が20日となります。
そこで、毎日20時まで勤務しているとすると、1日あたり2時間の残業となり、1ヵ月あたり40時間の残業があることになります。
もちろん、この場合は40時間分の残業代を支払わなければなりません。
これは、所定労働時間が9時~18時(休憩1時間)の8時間であるために、18時以降は残業としてカウントされるからこうなるわけです。(当然ですが)
1ヵ月単位の変形労働時間制を導入すると、こうなる
では、同じ月に1ヵ月単位の変形労働時間制を導入してみます。
今回の例では11月です。
11月は、暦日で30日ありますから、下の表に当てはめると171.4時間までは1日の所定労働時間を設定して良いということになります。
対象となる月の暦日数 | 労働時間の総枠 |
31日 | 177.1時間 |
30日 | 171.4時間 |
29日 | 165.7時間 |
28日 | 160時間 |
実際に導入する際は、各日ごとに所定労働時間を変えても良いのですが、今回は分かりやすさが優先ですのでざっくりと行かせていただきます。
どのように設定するかと言いますと、
1日の所定労働時間を9時~18時30分(休憩1時間)の8.5時間と設定します。
所定労働日は20日なので、
1ヶ月の所定労働時間=8.5時間×20日=170時間
1カ月の所定労働時間は170時間となり、上記の枠に入るわけです。
この状況で、最初の例と同じように、毎日20時まで勤務しているとしましょう。
先ほどは、18時以降の勤務は残業となっていましたが、今回は違います。
18時30分以降が残業です。
毎日20時まで勤務しているということは、
1日あたり1.5時間の残業となり、
1カ月あたりの残業=1.5時間×20日=30時間
1ヵ月あたり30時間の残業があることになります。
通常のパターンでは、1ヵ月あたり40時間の残業だったわけですから
なんと、たったこれだけで10時間の削減です。
全く同じ時間働いているのに、1ヵ月単位の変形労働時間制を導入しているかどうかという違いだけで、10時間も残業時間に差が出るのです。
今回は1ヵ月だけを見ましたが、年間で見ると差は大きいです。
例えば、国民の祝日は1年に15日あります。それとは別にお盆休み、年末年始の休暇を入れると20日にはなります。
この20日分は、他の労働日にまわせるので、
年間で削減できる残業時間=20日×8時間=160時間
となります。
残業単価が1875円(月給25万円弱)とすると、
年間で削減できる残業代=1875円×160時間=30万円
社員が多ければ多いほど、更にその差は大きくなります。
このやり方は、インチキでも何でもなく、法律を守りながら残業を削減できる正当な方法です。
国が認めている制度ですので、こういった制度を活用しないというのは、かなりもったいないということになります。
特例措置対象事業場の場合は、更に時間を多く出来る!
従業員が10人未満で、一定の業種の場合は週44時間制度の下で1カ月単位の変形労働時間制を導入することができます。
その際の所定労働時間は次のようになります。
対象となる月の暦日数 | 労働時間の総枠 |
31日 | 194.8時間 |
30日 | 188.5時間 |
29日 | 182.2時間 |
28日 | 176時間 |
上手く活用すれば、平均して1ヶ月あたり18時間ほど労働時間を多くしても残業代が不要になります。
週44時間の特例措置事業場についての詳しい内容はこちらをご覧ください。
※補足
- 変形労働時間制の規定は、満18歳未満の者には適用されません。ただし、満15歳以上満18歳未満の者については1週間48時間、1日8時間を超えない範囲で1カ月単位の変形労働時間制または1年単位の変形労働時間制を適用することができます(労基法60条3項)。
変形労働時間制の導入はプロに任せるのが一番
1カ月単位の変形労働時間制を単純に導入するだけなら社内でも十分にできるでしょう。
それは、導入するだけならパンフレットを見ながら、手続きをすればできるからです。
ただし、有効な運用方法や正しい運用方法を身に着けることは非常に困難だと言わざるを得ません。
なぜなら、労働法関連の法律は非常に複雑である上に、正しい残業の計算方法は更に複雑だからです。
変形労働時間制を導入した後は更に複雑になります。
しかし、当事務所であれば、当然に有効な運用方法をお伝えできますし、
更に
社内でも非常に楽に運用することができる運用を簡単にするツールを提供いたします。
導入するだけで残業対策になり、しかもその正しい運用を身に着けることができ、更に難しい運用が楽になる。
依頼しない理由が見つからないと思っているのは当事務所だけでしょうか。